人気ブログランキング | 話題のタグを見る

新年のあいさつ

あけましておめでとうございます058.gif

年明け早々から暗い話題で申し訳ないのですが、わが国を覆う「医療崩壊」の暗雲になかなか晴れ間が見えません。農業・水産業や医療・福祉に冷たい小泉改革以来のこの国の政策が、このような医療崩壊を招いたことはあきらかですが、政権交代で少しは改善の方向に向かうのでしょうか。大きな支持を得て発足した新政権ですが、「事業仕分け」や「予算編成」の作業をみている限り、舵取りの能力と誠意と方向性に、失望を禁じ得ません。

わが公立邑智病院では、医師不足・看護師不足から、平成18年度に50%を割り込んでいた病床利用率が、地域のご支援と職員の結束で平成20年度は73%まで回復しました。これで安定軌道に乗るかと思われたのも束の間、今年度初めには外科常勤医が不在となり、内科医も1名減となりました。これにより再び病床利用率が低迷し、60%台で推移しております。このような状況は、全国規模で蔓延する医療崩壊、勤務医不足によるものですが、その影響は、体力の弱い県西部で特に深刻です。東の大田市立病院では外科医不在となりそうです。西の津和野共存病院は経営破綻し、多額の負債を町が肩代わりして公設民営で再出発となりました。石見部のすべての中核病院の機能が大きく低下しています。もはや一病院の努力、地域毎の努力で医師確保や経営健全化を図ることは大変困難な状況になっています。

わが国はこの10年ほどの間に、医療・福祉関連予算(対GDP比)が先進国中で最下位グループという低福祉国家になってしまいました。せめて中福祉の国々(イタリア、スペインなど)なみの予算配分の方向へ舵を切らなければ、国民の安心が破綻してしまいます。私たちは、そのことを住民運動から国民運動へと盛りあげてゆくことが今大変重要だと思います。

邑智病院は、邑智郡内唯一の救急病院、急性期病院です。邑智郡の暮らしの安心安全のために、絶対に存続し続けなければなりません。この苦しい時代状況を乗り越え、生き残ってゆくためには、地域の皆様のご支援が欠かせません。私たち病院職員も地域住民です。地域の皆様と一丸となって、世論を盛り上げ、また、国政に発信してゆきたいと思います。
引き続きご指導、ご支援をよろしくお願い申し上げます。
新年のあいさつ_d0132664_1453982.jpg
                                       病院玄関にて(2010.1)
(写真左から)診療技術部長 伊達、副院長 藤脇、院長 石原、看護部長 三浦、事務部長 日高
by ohchi-ishihara | 2010-01-22 14:57 | 院長挨拶

石原晋 名誉院長のブログ


by ohchi-ishihara